ロシアワールドカップ、西野監督が率いる日本代表は大方の悲観的な予想を覆し、グループリーグを2大会ぶりに突破。
決勝トーナメント1回戦では優勝候補ベルギーを相手に惜しくも敗れたものの、2点を先行するなど激戦を繰り広げ、世界に大きなインパクトを与える闘いぶりでした。
この快進撃を受け、ロシアワールドカップ後の監督人事は従来の外国人監督ではなく日本人監督で、という声も挙がってきました。
そこで今回は「外国人監督」と「日本人監督」のメリットとデメリットを比較し、今後の監督人事を考えみたいと思います。
スポンサーリンク
日本人監督のメリット・デメリット
まずは日本人監督のメリットとデメリットをまとめてみます。
メリット
- 選手や協会とコミュニケーションが取りやすい。
- 日本のサッカー文化、育成方針を把握しているため、日本が目指すサッカースタイルとブレない采配が期待できる。
- Jリーグクラブから情報提供など協力を受けやすい。/li>
デメリット
- ワールドカップのような大舞台での采配に関する経験が不足。
- 欧州クラブなど世界最先端の戦術を理解、導入することが難しい。
- 海外とのパイプが弱く、海外クラブ所属選手の招集や強化試合のマッチメイクで苦労する。
やはり一番のメリットは、日本語で選手と不自由なく、忌憚なくコミュニケーションが取れるというところでしょう。
細かいサッカー感やプレースタイルの面で衝突があるかもしれませんが、言いたいことがあれば言葉で直接伝えられるのはストレス発散になるはず。
そして衝突を経てチームの向かう方向が一つに定まることも。
また、日本人選手と監督は同じ日本サッカー文化で育っていることから、「日本人が目指すべきサッカースタイルの構築」という視点を常に持ちながら取り組んでいけるでしょう。
一方で、欧州など世界トップの環境で活躍する日本人監督は未だ現れていないので、そうした場で生まれる最先端の戦術を取り入れるのは遅れてしまいますね。
外国人監督のメリット・デメリット
メリット
- 欧州などの本場で采配を振るってきた監督であれば、最先端の戦術を理解して代表に導入してくれることが期待できる。
- 監督の母国や指導経験のある国とのパイプを活かし、選手招集時や強化試合のマッチメイクで便宜を図ってもらえる。
デメリット
- 日本語が使えないため、選手とのコミュニケーションが上手く取れない。
- 日本のサッカー文化を理解していないため、日本人の長所を活かすよりも短所を直す方に目がいくことがある。
- 外国人監督は我が強く、選手の実力に関係なく自分のやりたい采配に合致した選手を選びがち。
まだまだ日本サッカーは欧州・南米など世界トップの国々から学ぶべきことがたくさんあります。
そういった世界トップの動向をキャッチアップできる方法のひとつが、そうした国々から指導者を招くこと。
メキシコ五輪で銅メダルを獲得した時の代表監督がドイツ人のグラマー氏であったり、鹿島アントラーズが現在の常勝軍団に成長した礎にあるのがブラジル人のジーコ氏がもたらした勝負に拘る姿勢だったり。
これまでの日本サッカーにおいて外国からの刺激が成長に大きく寄与してきたことは疑いないはずです。
しかし近年、日本サッカーと世界トップとの距離が近づき、日本人選手が欧州トップリーグで活躍するのが珍しくなくなってきた中で、上記のメリットが弱まると共にデメリットが目立ちはじめました。
特にハリルホジッチ監督時代にこれらデメリットが一気に噴出。
ブラジルワールドカップでアルジェリア代表を率いてグループリーグ突破を果たした実績を盾に、個々の一対一での強度や手数をかけずに前線へと当てる攻撃を取り入れましたが、これら戦術は日本サッカーが目指していた技術を活かしたスタイルとは大きく異なり、チームに混乱を与えることに。
更に悪いことに、ハリルホジッチ監督の考えは選手や協会に上手く伝わらなかったことで、日本代表全体に大きな不信感が生まれてしまいました。
このハリルホジッチ監督での失敗が日本人監督の待望論を強めたといえるでしょう。
サッカー日本代表は外国人監督は不向き?
ハリルホジッチ監督は失敗に終わりましたが、歴代の外国人監督は多くが日本サッカーの発展に貢献してくれました。
スポンサーリンク
これらの監督は日本人選手や日本サッカーに対するリスペクトの元、特色を活かしていく前向きな姿勢が目立ちましたね。
一方でハリルホジッチ監督は日本人選手にはデュエルが足りない、攻めに手数をかけ過ぎる、などネガティブな見方をし、先ず短所を直すという後ろ向きな姿勢。
文句ばかり言われる日本人選手、日本サッカー界は結果を残せないハリルホジッチ監督に不信感を溜めていきました。
ただ、日本人監督の方が日本人の特徴である結束力が固まりやすいことは事実なのかなと。
オシム監督から岡田監督になったときも、ハリルホジッチ監督から西野監督になったときも短期間でチームはまとまったのは月並みではありますがやっぱり言葉の壁は大きいといえます。
考えによっては日本のサッカーがまだまだ世界レベルに達してないということで、外国人監督での戦術で戦う必要性があるのも確かな事実。
今回わかったのは、外国人監督にも日本サッカーへの適応を含めて当たり外れがあるということでしょう。
外国人監督全般が代表監督に不向きとは思いませんが、外国人監督の起用はギャンブル的な怖さを感じてしまいますね。
外国人監督であっても日本人の特性を知る監督、つまりJリーグで結果を残した外国人監督も大いに相応しいといえるのではないでしょうか。
日本人監督と外国人監督のW杯の戦績比較
ロシアワールドカップまでの6大会の内、3大会でグループリーグ突破していますが、その3大会の監督は
・外国人監督 1名(トルシエ監督)
・日本人監督2名(岡田監督、西野監督)
と、実は日本人監督の方が結果を残しているのです。トルシエ監督時代は自国開催ということで恵まれたグループでしたしね。
ワールドカップ本大会になると代表・国が一丸とならないと勝ち進むことができません。
そう考えると、日本人監督のオールジャパン体制でチームが一丸となり、大舞台での強さにつながっていたのでは、と思います。
総評
以上、日本人監督と外国人監督のメリット・デメリットを考えてみました。
これまでは「外国人監督は日本人監督より優秀」という固定観念が日本サッカー界に広がっていましたが、西野ジャパンの快進撃を受け、国籍に縛られるのではなく采配力を評価基準とされていくでしょう。
今後はハリルホジッチ監督が求めた縦パスサッカーも求められる部分でもあると思いますし、組織力は世界トップクラスでも緊迫した場面ではやはり「個」で勝負しないといけないことも出てくるはず。
特にヨーロッパの国に対しては五角に戦えてもブラジルとの対戦では誰からみても明らかにレベルは違いますので、強豪国相手でも個を含めたいろんな攻撃の形がもっと見てみたい気はします。
一般的な日本人監督、外国人監督に当てはまる上記のメリット・デメリットを踏まえつつ、卓越した采配を見せる監督が待望されますね。
最後に
以上、日本人監督と外国人監督のメリット・デメリットをまとめてみました。
現状では日本人監督、外国人監督の双方にデメリットがありますが、それを補って余りある采配を見せてくれる監督が来るといいですね。
また個人的には、将来的に現状の日本人監督と外国人監督とのハイブリッドとして、世界トップの舞台で活躍する日本人監督が生まれることを期待したいです。
スポンサーリンク
コメント